難しそうだが、実は「君はどう老いるか」を読んで追体験すれば、自分を自然に振り返れる。自分の「使命」にも気づく。

「自分が生きて来た意味」を十分に感じて人生を終えたいなら、「自分に与えられた使命」を考えてみよう。

あなたのサラリーマン人生は充実していましたか。多くの人が「自分はやるだけのことをやった」と思い、達成感を持っているでしょう。しかしそれを持てば持つほど、次の定年後の人生に苦しむことが多いのです。

たとえば、退職した途端に名刺がなくなります。それは「自分がどこの人間でどの程度社会的地位があるか」を証明するモノが無くなることです。旅館に行って宿泊表の「職業欄」に「無職」と書く時にもなぜか何とも言えない恥ずかしさを感じるかも知れません。何より、自分がいないとこの仕事は回らない、と思っていたものが、自分の退職後も特に問題なく回っているのを見ると、自分は何だったのだろう、と思うはずです。

それらが合わさると、「自分の人生に意味がある思っていたのは、全て会社あってのものだった。その会社がなくなった今、自分の人生には全く意味がない」と絶望的な気分になるのです。
その状態で、人生の残りの6.7万時間を過ごしたいですか?
「NO!」と答えるのであれば、自分のこれからの生きる意味を探しましょう。

しかし手当たり次第にいろいろなものに首を突っ込んでもなかなか見つかりません。まずサラリーマン人生で自分が身に付けた知識、技術を棚卸し、それを今、会社が無い状態で、人のために生かすとしたらどういうことができるだろう、という道筋でゆっくり順番に考えるのです。
「君はどう老いるか」はそのゆっくり順番に考えるための材料になる3人の男性の「老いとの向き合い方」が書いてあります。自分の「生きる意味」を見つけるためには、一読してみることをおすすめします。

「老いとの向き合い方」つまり「自分の生きる意味」の気づき方

定年後の6.7万時間に意味を持たせよう。


  • フランクルの「使命はあなたを待っている」という言葉

    ここまで「自分が生きる意味」という言葉を使ってきましたが、それは言い換えれば自分の「使命」であり、自分の「存在意義」のことです。
    「君はどう老いるか」を著者が書いたきっかけは、アウシュビッツから奇跡の生還を果たしたドイツの精神科医・フランクルが


    人はみんな自分の『使命』が人生の中に用意されている。しかしそれに気づかない人は『自分の人生には意味がない』と思ってしまう。それでも『使命』は気づいてもらえるのをじっと待っている


    と書いていることに触発されたからです。
    これは趣味を持て、友人を作れ、地区のコミュニティに参加しろ、というような表層的な「定年ノウハウ本」や、「孔子の教えに従えば人生は楽になる」というようなひとつの価値観や考えを押し付ける「定年説教本」とは全く違います。

    定年後の虚無感や無意味感は、「何か」をすれば解消されるものではありません。「何か」ではなく「どう」考えるか、の問題なのです。

    つまり、自分の考え方を変える=認知を変えることでしか答え、すなわち「自分が生きる意味」「使命」「自分の存在意義」は見つからないのです。
    たとえば本書で扱う男性の中の1人、郷ひろみが自分の「使命」に気づいたのは、40代で「このままでは自分の芸能生活は先細るばかりだ」と絶望していた時に、3年間芸能活動を中止してニューヨークに渡り、ダンスや発声の訓練を受け、「郷ひろみとはいったい何なのか」という深い思索がきっかけです。

    沢田研二の「使命」はトップスターから事務所を独立して、ほとんど売れない10年間の試行錯誤の中で自分の音楽活動の意味はどこにあるのかを考え続けた結果、気づいたものです。
    つまり「使命」は何かのきっかけさえ与えれば、まさに天啓のように気づくのです。
    読書という体験も、「君はどう老いるか」という本も、そのきっかけの1つです。この本は3人の男性が長い迷走の末に絶望の底で「使命」に気づき再生した、というノンフィクションというだけで、「これをしろ」「人生の使命はこれだ」という答えは1つも書いてありません。

    結局気づきは、自分の中で何かの化学反応が起きて発生するものだからです。
    とは言え「気づき」のきっかけになるという意味では「君はどう老いるか」はかなり優れた本です。定年後の孤独、喪失感、虚無感を感じ、老いとどう向き合えばわからないという人にはぜひおすすめしたい1冊です。

  • 郷ひろみはなぜ「郷ひろみ」であることを選んだのか

    郷ひろみは肉体的な衰えを感じ始め、それと同時に自分の芸能生活の展望が見えなくなった40代の時に芸能活動を全て休止して3年間ニューヨークで暮らしました。毎日、厳しいダンスと発声のトレーニングを受けながら、アパートの孤独な生活の中で、「自分はこれからどう生きていくべきか」を考え、その結果「ルックス、スタイル、ダンス、声量の4要素を30代のままで維持し、ステージを見たファンにそれを見ている間だけは、若返る幸福を与える」という使命に気づいたのです。そしてその4要素以外、つまり芸能人ではない本名の「原武裕実」までも捨て去って、「1日のうち23時間55分は郷ひろみ」でいることに自分の人生を捧げたのです。

  • 沢田研二は「老いることは美しい」と言った

    10年ほど絶頂期は違いますが、沢田研二も郷ひろみと同様に、男性アイドル歌手の頂点に君臨していました。
    しかしその間彼は自分の意見を全く持たず注文も出さず、「素材」であることに徹しました。その時代のトップクリエイターたちが沢田研二という最高の素材で自分たちの才能を競い、自分は「与えられるまま」だったのです。たとえばレコード大賞を獲った「勝手にしやがれ」でパナマ帽を投げるアクションもプロデューサーの加瀬邦彦のアイデアです。当時流行したテクノ音楽を取り入れた「TOKIO」でパラシュートを背負った衣装も、デザイナーの意見に従っただけです。
    その沢田研二が自分で考えるようになったのは、個人事務所を作り自分で全てを判断し、決めなければならなくなってからです。しかし「ジュリー人気」は既に終わっていました。彼はその「売れない」10年にあらゆる試行錯誤を行い、最終的に「自分の素の姿をさらけ出すことが1番ファンの心に届く」と気づき、「自分らしさを出して波長のある人を感動させる」ことを自分の使命にしたのです。
    そして彼の本来の姿である内省的な曲をアルバムに入れ、ステージではローリングストーンズの曲や「憲法9条改正反対の曲」を歌うロック歌手に徹しました。東日本大震の時にはほかの芸能人が1~2年ほどでボランティアを終えるのに対して、毎年3月11日に犠牲者を鎮魂するミニアルバムを発売し、8年間出し続けました。

    外見も、白髭、グレーの蓬髪、でっぷり出たお腹という「ジュリー」であったとは信じられない姿でステージに立ち、「老いることは美しい」と言いました。

    それが彼の「使命」から発している必然的な「老いとの向き合い方」なのです。

ご自分の人生の「意味」を考えたいと思われたら、ぜひご一読ください

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