この発言者は沢田研二。彼の人生は最高の頂点もあったがどん底もあった。今は白髭、グレーの蓬髪、肥満で決して「美しい」姿ではない。しかしそれでも「老いることは美しい」と言える秘密をこの本で理解できる。
人生は決して順風満帆じゃない。失敗も多い。
そんなことも全部まとめて肯定する気持ちが「老いることは美しい」なのだ。
そんなことも全部まとめて肯定する気持ちが「老いることは美しい」なのだ。
沢田研二は自己肯定感の低い人間だった。
17歳で京都のジャズ喫茶で初めてマイクで歌った時も、自分の声のひどさと歌の下手さにがっかりした。その後誘われてザ・タイガースに入った時も、新入りで1番音楽知識がない自分はみんなの足を引っ張っていると思い続けていた。メンバーでミーティングをしても一言も自分の意見を発しなかった。しかし実際は<ジュリー>人気で、ザ・タイガースは瞬く間にGSのトップバンドになった。
その後ザ・タイガースが解散し、そのあと入ったPGYも自然消滅した後、周囲はこぞってソロデビューをすすめたが「自分なんかがソロで成功するわけない」となかなか「うん」と言わなかった。しかし半ば無理やりデビューすると2曲目でベスト10のトップになり、それ以来ヒットを出し続け歌謡界の頂点に立った。
しかしそれでも「危険なふたり」で歌謡大賞を獲った時でさえ「これはたまたま。すぐに人気はなくなる」と思っていた。確かに沢田研二はその時も自分からは何の意見も言わず、「素材」として超一流の作詞家、作曲家、デザイナーのアイデアに載るだけだった。有名な「勝手にしやがれ」のパナマ帽を投げる演出もプロデューサーの加瀬邦彦の指示、「TOKIO」でパラシュートを背負ったのもデザイナーのアイデアだった。つまり自分が1つもなかった。
そのような彼が初めて自分で考え始めたのは独立して個人事務所を立ち上げた時からである。全てを自分で決めなければならなかったが、アルバムはほとんど売れなかった。そのどん底で彼は10年考え、ある結論に達した。それは「自分の素の姿を晒さないとファンは応援してくれない」ということである。
それから彼はステージではローリングストーンズを歌い、「憲法9条を守る歌」を歌い、東日本大震災の時はほかのタレントがボランティアを1年でやめる一方で、被害者を鎮魂するミニアルバムを毎年3月11日に8年間リリースし続けた。
年を経るにしたがって、白髭が生え、グレーの蓬髪になり、腹はたっぷり出てきたが、そのままの姿でステージに立った。なぜならそれが「素の自分」であり、そのように自分の生を肯定することで、50~70代のファンにある種の勇気を与えられると気づいたからである。
そして言ったのである。「老いることは美しい」と。まさにどん底を経て、子供のころからの自己肯定感のなさを克服して、自分を肯定できた瞬間だった。だから彼は「老いる」ことを極めてポジティブに受け止めているのである。
3つの「老い」の受け止め方
「老いることは美しい」・・・・
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「鬼滅の刃」でも同じことが語られていた
「老いること」を美しいととらえようという発想は比較的アメリカやフランスの女優、デザイナーなどから聞くことはできる。しかし驚くべきことに、「日本のアニメ」でまさに沢田研二とそっくりの考えを語ったキャラクターがいたのである。
それは
老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ。
老いるからこそ死ぬからこそたまらなく愛おしく尊いのだ。
というセリフで、出典は日本の長編アニメーション映画「鬼滅の刃 無限列車編」の中での煉獄杏寿郎という人物のセリフである。
この映画は吾峠呼世晴の漫画「鬼滅の刃」を原作に、404.3億円の興行収入を記録し、20年間1位を堅持していた「千と千尋の神隠し」を抜いた大ヒット作である(ちなみに同年の世界映画界の中でも興行収入第1位である)。
そもそも「鬼滅の刃」という物語は竈門炭治郎が鬼によって鬼にされた妹・竈門禰󠄀豆子を人間に戻すために「鬼殺隊」に入隊する、ロードムービーと若者成長譚とアクションが融合された作品である。煉獄杏寿郎とは、その「鬼殺隊」に所属する屈指の剣術の使い手である。このセリフは煉獄がその強さを鬼に認められ、「死」などというものに縛られている人間などをやめて、鬼の仲間に入らないかと勧誘された時の返事だ。
このセリフにはまさしく人間の儚い生を、すなわち「老い」があるからこその人間を「愛おしいほど美しい」と言っている点で、沢田研二の発言と極めて似ている。そしてこのセリフは「鬼滅の刃」名セリフベスト10などの企画があると必ずランキングされるような若者にも共感されているものである。つまり沢田研二の「老いることは美しい」も、単に老人の負け惜しみではなく、全世代に共通する「生を肯定する希望」の表現なのである。
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一方で「老い」を拒否する生き方も
「君はどう老いるか」ではもう1人、日本のトップアイドルだった男性歌手を扱っている。
郷ひろみだ。
彼は逆に、アスリートのようにハードなトレーニングをストイックに行い、60歳を過ぎた今も、ルックス、スタイル、ダンス、声量で30代の自分を維持している。まさに「老いを拒否している」のである。それは彼がステージで「30代のままの」パフォーマンスを見せると、やはり50~60代のファンはひと時10代、20代の頃の自分に戻り、元気な気分になるという「イリュージョン」を提供するためなのである。
沢田研二とは全く正反対の「老い方」だが、しかし根幹は「ファンにとって自分の価値は何か」と言うこと、言葉を換えれば何のために自分は歌っているのかという使命感としては、非常に似ているのである。
だから郷ひろみは自分の生き方を「1日のうち23時間55分は郷ひろみ」だと断言している。つまり架空の郷ひろみとして生きることに自分の人生を捧げているのである。 -
我々の「老い」も「美しく」なるのか。
この沢田研二と郷ひろみの生き方は、何も芸能人だから、トップスターだから可能になっているわけではない。 自分のいい点も悪い点も含めてすべてを肯定する気持ちさえあれば、同じ境地に達することができる。 しかしその「生」が自分で肯定できるものでなければそれは不可能だろう。つまり本人がどれだけ自分の「生」を真正面から生きているか、である。定年後にぬれ落ち葉になったり、定年うつになったりしている姿を肯定はできない。
そのポイントはただ一つ、「自分の人生に使命があると分かっているか」である。
アウシュビッツから奇跡の生還をしたドイツの精神医学者・フランクルは書いている。 「どの人の人生にも使命はあります。しかしほとんどの人は気づきません。しかし使命は気づいてもらえるまでずっと待っています」 つまりぬれ落ち葉にも定年うつにも本当は「使命」があるのだ。それもサラリーマンという会社から与えられた仮の権力、仮の立場を失ってからも、「使命」だけは人生の軌跡の中であなたを待ち続けているのだ。それに気づきさえすれば、「老いていくこと」も含めて自分の人生を肯定できるだろう。
では、どうやったら使命に気づけるのか。それは自分で考え、まさに天啓のように気づくしかない。しかしその気づきのきっかけになるものはある。それは「本」である。 それも趣味を持て、友人を作れ、外出しろとノウハウを並べた「定年ノウハウ本」でも、「釈迦の教えを守れ」と1つの生き方を強要する「定年説教本」でもなく、ゆっくり読んで自分を振り返ることで気づきにたどり着くような本である。 その1つが「君はどう生きるか」だ。自分の使命に気づいて、定年うつを脱出し、「老いることは美しい」と言えるようになりたい人は、ぜひ手に取ってみてはどうだろうか。
自分の「使命感」に気づき、「自分の生」を肯定したい方はぜひご一読を
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