本人のせいであることは非常に少ない。
根本原因は社会の偏見と無理解だ。

なぜ女性総合職はことごとく挫折し脱落していくのか

鳴り物入りで登場した男女雇用機会均等法。

それは本来は能力を男性並み、いやそれ以上に持っている女性という戦力が潜在的にありながら、それを生かす場を用意できない日本の社会の未成熟さを一気に解消してくれる、という期待に満ちた法案であった。

また女性の立場から見ても、自分が「単に女性だというだけで」男性と同じ土俵で仕事をさせてもらえない、競争できない、評価されない、昇格できないという不満も解消できるはずだった。


しかし結果的にはどうだろうか。

均等法施行後30年が過ぎた2013年の総合職女性の離脱女性を見ると、その極端な結果に驚く。


10年前に採用された女性総合職の離職率は、同年に採用された男性の約2倍の65.1%である。さらに10年前に採用した女性総合職が「全員退社してしまっている企業」は48.9%にも上る。

つまり女性の戦力化による日本の生産性の底上げという目的は全く達成されていないのである。


そのほとんどの実態は、よりよい職場を求めての転職、ということではなく心身を壊して、ボロボロになって脱落していっている、という言い方の方が適切だ。これだけ確率が高ければそれは個人の問題ではない。社会の構造上の問題である。


つまり、なぜ日本の社会は女性が総合職として活躍することができないのだろうか、ということである。

強い男尊女卑思想

女性総合職がきつい理由1

個々の会社ごとに特有の問題もあるはずだが、ここではそのような特別な理由ではなく、あらゆる企業に共通して女性総合職が仕事を続けるうえで「きつく」なってしまっている理由を3つ挙げよう。


1つは「根強く残っている男尊女卑思想」である。


現代の男性社会人で特に中堅管理職以上で40代以降の中にはまだまだ男尊女卑の思想が根強く残っている。

頭では「これからは男女平等でなければならない」と思っていても、家庭で妻との関係がうまく行っていなかったり、自分の何十年かのサラリーマン生活でたまたま体験したわがままな女性社員で苦労したことをトラウマで持っていたりすると、総合職女性が部下になっても根本には「女なんか当てにならない」「女は間違いを指摘するとすぐにヒステリーを起こす」と思い込んでしまっているのである。


そしてその偏見を矯正するだけの説得力を当の女性総合職が入社数年で持っているわけはないので、ますますその偏見は助長されていくのである。

でき上がっている男性向けの営業手法

女性総合職がきつい理由2

女性総合職が内勤に回されることは少ない。なぜなら内勤で女性がする仕事は既に「一般職に」割り振り、賃金コストと仕事の難易度のバランスはとれているからである。給与が高い、これからも高くなっていく女性総合職の場合、その人間が仕事の業績貢献度を高めていかないと賃金コストが稼いだ利益を上回って赤字になってしまうのである。


そこで女性新人はほぼ全員営業職に回されるわけだが、そこにおける「営業手法」がまた前時代的なものなのである。

IT系などの新しい考えが注入されている業種ではそのようなことはないが、重厚長大の企業では、営業マンと相手の担当の親和度によって商談が決まってしまう傾向がいまだにあるのだ。

だから営業側は、相手を終業後に酒席に誘い、仕事と関係ないバカ話をしたり、あるいはひどい場合は一緒に風俗店へ行ったりして、「仲間感」を醸成する。それが営業がうまくいくかどうかのキーポイントであるという業界がいまだに多いのである。

だから女性社員が「製品のベネフィットや価格」などを分かりやすく説明するよりも、1晩一緒に飲めばその方がよほど成約率が高まるのだ。


従って、女性総合職も上司命令で、あるいは命令がなくても、男性営業マンと一緒にそのような酒席に同席することも多い。そこでははっきり言って女性総合職はホステス代わりである。セクハラまがいの発言や態度に耐えながら、「受注のためだ」と割り切って参加するのだが、当然業務時間外のことだし、女性社員が先に帰ることをたいがいの相手会社の担当は嫌がるので、お開きになるまでいなければならない。


しかしそのような拷問まがいのことは、彼女の肉体だけではなく精神も徐々にむしばみ、結局心身のどこかを壊してしまうのである。

女性の身体的特性を理解しないマネジメント

女性総合職がきつい理由3

男性と女性のどちらが能力的に優れているかは個人による。


しかし、絶対的に異なるのが身体的な部分である。


女性は月に1回必ず生理が来る。それは肉体的な痛みや、精神的な不調を伴う。しかし生理を体験したこともなければ、その大変さを想像したこともない中年管理職は「その程度で」彼女が休むことを許さない。

従って彼女は痛む下腹や頭痛、あるいはPMSを抱えながら出社するのである。そして出社した以上そのようなネガティブな要素はひた隠しにして仕事をしなければならない(明らかにしても誰も助けてくれないからである)。

それどころか無理に出社することによって、不正出血など症状が悪化することも十分にあり得る。そういうマイナス部分を勘案しても、女性総合職の方が有益な局面もあるはずなのだが、上司はそのようなマネジメントの素養がない。結局その積み上げが、彼女の生理機能を根底から破壊してしまい、結局会社から脱落するしかなくなるのである。


このような事例も含め「戦う女と媚び倒す女」では「女性総合職のきつさ」の例ををほかにも挙げている。中森明菜が壊れたのも、根本は主役は女性歌手であるにも関わらず、プロモーションなどは全て男性目線で男性が仕切っていたことにある。そのあたりのリンクも含めてこの、現代に生きる「主張する女性の挫折」に興味、関心、共感のある方はぜひ「戦う女と媚び倒す女」をお読みいただきたい。

総合職のつらさ、大変さについて共感、興味、関心のある方はぜひお読みください

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