使命は誰の人生にも用意されています。要はあなたが気づくかどうかだけです。
「何ができるのか」を考えることは、自分の「使命」の気づきにつながります。
定年で「することがない」というのは恐らく正確な言い方ではないでしょう。正確に言えば「自分が精魂を傾けて取り組めるほどの何かが見つからない」ということではないでしょうか。
そういう時最もよくない対応は、定年ノウハウ本を読んで手当たり次第にいろいろなことに手を出すことです。ボーリング、カラオケ、麻雀、ゴルフ、散歩、1人旅、写真、写生、絵手紙など、ノウハウ本にはやまほど「すること」が載っています。しかし本当に自分に向いて言える、ただの時間つぶしではなくてやりがいを感じられるか、というとほとんどが当てはまらないはずです。
ノウハウ本には「違うなと思ったらすぐ次に行きましょう」などと無責任に書いてありますが、失敗する都度自分の中に「自分にはできることがない」という絶望がだんだんと溜まっていき、最後は定年うつになってしまいます。
ですから、ちゃんと自分に合っているものを最初からきちんと考えて真剣に取り組むべきなのです。
「君はどう老いるか」という本は、3人の老人への境を超えた男(沢田研二、郷ひろみ、著者)が、苦しみながら自分が本当に残りの人生を賭けてもいいと思えるもの、つまり「使命」を見つけるまでのプロセスを分析した本です。
ですからノウハウ本を読むよりも、この本をゆっくり読んで、登場人物の気持ちを推し量りながら自分に当てはめ、自分の心を徐々に熟成させながら、自分にできることを探す方が、本当の「使命」を見つけられるのです。
定年は「することがない」のではなく「することがみつからない」の
「定年マニュアル本」のダマされるな!
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使命は人生のどこかであなたをずっと待っている
「使命」という言葉に深い意味を与えたのはアウシュビッツから奇跡的に生きて解放されたドイツ系ユダヤ人のフランクルという精神医学者です。
著者が天啓だと感じた言葉は次のものです。
「全ての人間の人生には『使命』が用意されている。しかし気づかない人も多い。しそれでも『使命』はじっとあなたが気づくのを待っている」。
著者自身、早期退職をして5年目の60歳の時に、ある人から「肩書がないよね」と言われ「今の自分は社会的には何の価値もないのだ」と気づき、ひどい定年うつになりました。
しかし、落ち着いて自分のサラリーマン人生をさかのぼり、その間に身に付けたスキルと知識の「棚卸」をしたところ、実はそれがいくつもあることに気づきました。たとえばマーケティングでどのようにすれば物が売れる用意なるかを考えるスキル、そのアイデアをキャンペーンにして、カタログなどの本の原稿を書き、編集し、印刷所に指示を出し、あるいはものによってはドラマ仕立てにしてVTRにするという一連のスキル。あるいは人を採用して教育し、1人前の営業レディやマネージャーにするための教育の内容開発や講師としての実践経験も豊富にありました。
そして気づいたのが「このスキルはほかの人はそうそうは持っていない。ならばこれを必要な人のために使って助けてあげるというのはどうだろう」。それで立ち上げた1つが、斬新すぎて、あるいは企画書がないために学会や出版社から拒否されている論文や、著書の出版を、格安のガラス張りの費用で支援するというサービスです。
もう1つは国が全く救済しようとしない貧困女性を対象に、企業が採用したくなるような「物事への取り組む姿勢」(簿記などのスキルではありません)を研修して、確実に正社員として合格させ、年収を200万円増やす、というプロジェクトです。
この2つを柱にどんどんできることが広がり(ほとんど実費なので収入は増えませんが)、いつの間にか著者の定年うつはないっていました。
それが著者の「使命」に気づいた経緯、「できること=することを見つけた」ストーリーです。つまり30年間のサラリーマン人生は、60歳から自分の「使命」を果たすための準備期間だったのです。
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仕事の棚卸と使命
一介の平凡なサラリーマンであった著者にもこのような「できること=すること」、つまり生まれて来た「使命」があったのです。あなたにも必ずあると断言できるでしょう。
問題はその使命の見つけ方です。最悪はノウハウ本に載っていることを片っ端からしてみることですから、絶対にやめましょう。あなたが最初に取り組むべきは、自分が40年間のサラリーマン生活で培った技術と知識、経験をゆっくり棚卸してみることです。「こんなの誰でもできる」と思わずに、1つ1つ全部書き出しましょう。
すると、思った以上にいろいろな能力があったり、逆に1つ分野に関しては他の人に負けないだけの深い能力があったりすることに気づくでしょう。
「使命」とは「社会で人のために直接・間接に何かをする」ことですから、この棚卸で整理できたスキルや知識、能力を、どうやって人のためになることに「変換」すればいいか、どういう局面で生かせるか、ということを考えればいいだけです。
でも決して焦らないでください。できれば棚卸をしたら、1日の空白を設けましょう。その上でできるだけゆっくり進み、何をどう使えるのかを考えましょう。なぜなら「使命」は頭で理解するものではなく、自分の心の中でワインのように醸成されてきて、それが十分熟成された段階で言葉になるものだからです。
早すぎる気づきは「心の底から気づいた使命」ではないことが多いのです。
その思索の結果、たとえば40年間営業だった人は、運営資金が不足して苦労しているNPO団体のために、企業に軒並み飛込訪問をしてNPOの主旨を説明し、寄付金を集めてみたらどうでしょう。人事、労務など総務のプロは、人が足りなくて所長に負荷がかかりすぎて新人への教育にまで手が回らない小さな介護ステーションなどで、事務・総務全般を1人で請け負ってあげたらどうでしょう。(もちろんどちらも無償で、です)。多分彼ら、彼女らはあなたの目を見て本心から感謝するでしょう。
サラリーマンだった時に大口の取引を済ませ相手の営業から感謝されたとしても、それは「あなたという裸の本人」にではなく、あなたの先に見える「会社」に言っていただけです。
しかし今度は「あなた自身」への感謝です。あなたはきっと深い満足感と自己肯定感を持つでしょう。それこそが「使命」なのです。
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「君はどう老いるか」の読み方
「君はどう老いるか」という本は3人の「老人」の領域に踏み込んだ男が、どうどん底から自分の「使命」を見つけたのか、自分らしい「使命」に沿った「老い方」を実行しているのか、ということのルポルタージュです。
1人は郷ひろみが40歳を境に、「30代の自分を常にステージで再現して、来場するファンにひと時の夢を与える」という使命を全うするために、アスリート並みの厳しいトレーニングをしている話です。いわば「老いない」老い方です。
もう1人は沢田研二です。彼はトップスターから脱落して10年間試行錯誤をの末、自分らしさをそのまま出す方がファンにメッセージが届く、感動を呼ぶ、ということに気づきました。その結果、白髭、白髪の蓬髪、肥満という「ありのままの70代の自分」で60年代のロックや「憲法9条改正反対の歌」などを歌う「ロック歌手」を活動の基本です。彼はこう言っています。「老いることは美しい」と。
3人目は著者ですが、これは既に触れました。
ですから「君はどう老いるか」は定年ノウハウ本でも、「釈迦の説法に従って生きれば幸せになれる」というような「定年訓示本」でもありません。考えるきっかけになる本です。ぜひ「自分のすること」がないのではなく「自分のすることに気づいていない」人はこの本を手元に置きながらゆっくり自分を振り返り、するべきことを見つけてください。
そのためには最適な本だと思います。
「すること」ではなく「できること」を探す時にぜひこの本を手元に置いてください
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2022年4月 |
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