誰も知らない歌姫の孤独の本質
「生まれて来なければよかった」そう中森明菜に呟かせたヒミツは・・・?
明菜は1965年7月13日、東京都大田区に、二男四女の五番目、三女として生まれた。父親は精肉店を経営していた。本名も同じ中森明菜である。すぐに東京都清瀬市に移り、4歳から14歳までの10年間、「横山昭子モダンバレエスタジオ」に一日も休まずに通った。「幼い頃から衣装にとてもこだわった」子供だった。美空ひばりが好きだった母は明菜の幼少時からひばりの歌を手本に歌の教育をした。
幼少期の家族、特に「お母ちゃん」に対する無防備な信頼と愛情は極めて大きい。明菜が高熱を発しても「薬嫌い」の母親はインスタント麺の粉末スープをベースにした「特性ニンニクスープ」を与えるだけなのだが、この見方によっては安易で根拠のない民間療法で子供の生命を危険にさらすように行為に対してでさえ、明菜は肯定的にとらえ、真夜中に目覚めると起きて見守っていた母親が「苦しくないかい?」と聞いてくることを「いちばん遠い記憶の箱に、大切にしまっている」ほどなのである。
中学は地元の清瀬中学でツッパリグループに属し、授業は真面目に受けなかったが、音楽の授業、合唱大会の練習には熱心に取り組んだ。他の五人の兄弟も併せて清瀬中学では中森きょうだいは悪い意味で有名だった。
1981年、三度目の挑戦の『スター誕生!』本選大会で同番組の史上最高得点となる392点で合格する。さらに4か月後の決戦大会では史上最大数の11社のレコード会社や芸能プロダクションのスカウトを受け研音とワーナー・パイオニアと契約した。
『スター誕生』予選時から、明菜の歌の上手さは大きく評価されたが、不良系を好まない審査員・松田敏江の強硬な反対で二回とも落選している。明菜の歌の上手さは以下のようにデビュー時から出色していた。
作曲家の来生たかおは明菜のためにデビュー曲を書いてほしいと注文を受けたが、通常新人歌手の場合の与件、例えば1オクターブ内に収めてほしいとか、歌いやすい歌に、というような条件は全くなかった。「歌の上手い子なのでどういう言う歌でも大丈夫」というわけである。そこで受け取ったデモテープを聞いて来生は驚愕した。テープには岩崎宏美の「ロマンス」、高田みずえの「硝子坂」、山口百恵の「ひと夏の経験」「いい日旅立ち」が入っていたが、いずれも新人歌手とは思えない歌唱力だったからである。特に「ロマンス」と「ひと夏の経験」が含有するかすかな性の香りのニュアンスを艶っぽく感情を込めた歌唱力と、山口百恵の二曲における低音のパンチ力には驚いた。
この特徴を生かし、明菜は独特のささやくような歌い方と歌いあげる発声法を駆使して極めて表現力の高い歌唱を行った。
これが表面的な中森明菜の誕生からデビューまでの軌跡である。これだけを読むと、少し不良がかってはいたが、大家族の中で愛されて歌手を目指した歌の上手い女の子、という生い立ちになるが、実はそれは表面的なものであって、本質的な明菜は修羅の中で生きて来た、ということが明らかになる。
中森明菜の光と影
トップアイドルとしての栄光と、孤独を抱えボロボロになった少女
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明菜が作った「ツンデレ」
松田聖子が「ぶりっ子」という女性の一典型を作ったのに対し、明菜は「ツンデレ」という典型を作った。
「ツンデレ」とは第三者がいる公の場では好きな人にでもツンツンした冷たい態度をとるが、二人きりになると途端にデレデレ甘えて来る、という二面性を持っているキャラクターを指す。
多くの明菜の評伝は、明菜がツンデレという性格付けは、楽曲を純情系とツッパリ系の交互のコンセプトでリリースしていく、ということによって与えられたものであって、素としての明菜はごく明るい、やさしい性格の女性であった。従って「少女A」を与えられた時、それを歌うことを頑なに拒んだ、とされるが、それとは少し異なった「事実」もある。
明菜は清瀬中学の頃は髪の毛は校則違反のウェーブ、地面すれすれのスカート、ペタンコのかばんで不良グループの中心ではないが、グループに属していた。
さらに中学の同級生の記憶として、脅迫とは明言できないが「千円貸してくれる」と優しく言われ、貸すと二度と戻らない、という「極めてソフトな」カツアゲされたという証言もある。つまり明菜は清瀬中学の時、そこそこの不良だったのである。
だからこそ「少女A」でツッパリ少女の恋愛を歌わせようとした時に、過去の悪さが公けになり、自分の思う歌手「中森明菜」のイメージが崩れることを恐れて頑強に拒否したのである。
つまり明菜は本当にツンデレだったのだ。 -
望まれないで生まれた子
ある特集のためにスタッフと一泊旅行をした時に、編集者が交わした雑談の中では明菜は以下のように言っている。
「肩身の狭い思いをして、育ってきてるから。長年のね、子供の時からの恐怖心なんだね。邪魔者みたいな・・・私、生まれて来ちゃいけなかったんだって思ってた。その思いが、どっか根本に残っているんじゃないかと思うの・・・。私、身体弱かったでしょう。すぐ熱出して寝込んでばかりいて。お父ちゃんにもお母ちゃんにも、兄妹にも、みーんなに迷惑かけちゃってて。例えば家族みんなでプールとかに遊びに行く予定を立てたとするでしょ。でも私が具合悪くなっちゃって行けなくなる、そしたらみんなが、『明菜のせいで!』って。『また、明菜が・・・』って。私ひとりのせいで、いっつもそうだった。私だけいっつも家族と違ってて・・・。お母ちゃん、しょっちゅう言ってた。『明菜さえいなかったら』って。お酒飲むたびに、言い出して泣くの」
これはまさに自我が未成熟の時期から「You are NO!」と否定され続けた心の歴史である。
この幼児体験からもたらされるのは、太宰治ではないが「生まれてごめんなさい」という自己を肯定できない自我であり、その結果明菜の根本には自己肯定感の低さが根付いてしまったのである。
だから、その当時は恐らく自覚もなかったために当時の自叙伝にも触れられていないが、明菜がFM東京の「リスナーズ・グランプリ」で最優秀新人賞をとった時に、祝福されても明菜自身は、本当はその人は「何であんたなんかが取ったのよ」と思っているに違いない、と感じたのである。それを明菜は「自分をけなしていないと後で落とし穴がありそうで怖くて仕方ない」からと分析しているが、根本は自分に対してYesと言ってやれない、自己肯定感の低さに要因があると思われる。それは自分は不器用だからほかタレントのように自分を変えらない。だからすぐに飽きられるだろう、という自己分析にもつながる。
そしてこの低い自己肯定感が、自分は誰からも愛されない、認められないという潜在意識になり、孤独につながったのである。世の中で何よりも孤独なのは「自分で自分を信じられない」ことだからだ。
その低い自己肯定感は、反対に肯定の言葉をもらうための努力を自分に強いることとなった。彼女が「歌に限らず、すべてにおいてそうでした。人に褒めてもらいたい。認めてもらいたい。その性格は、今も(1999年当時)も変わっていません」と述べている通り、低い自己肯定感を救ってくれる言葉、行動、存在を求めていたのである。これは後に近藤真彦に対する全人格を預けたような恋愛となって現れた。 -
家族のために建てたビルが大借金に
その孤独をさらに助長する現実が明菜を襲う。
一つは明菜がヒット曲を出し相応のギャラを得るようになってから、母の千代子を社長に「ミルキーハウス」という明菜の節税会社を設立したが、家族がそれまでの仕事を辞め次々にミルキーハウスの役員に収まって給与を得るようになったことである。
明菜は自分のギャラが家族の給与に流用されていると疑ったのだ。
明菜の兄でやはりミルキーハウスの役員になった明菜の次兄によればミルキーハウスは明菜の収入管理のほかにカラオケハウスなどを経営し、自分達の給与はその売上から支払われていたということで明菜の疑念は誤解だということだったが実態はわからない。
明菜にとって不信を抱くことはさらに重なった。明菜はこのようなことがありながらも家族のために銀行から1億円を借り入れて「大明華ビル」というビルを建て、そこに父親には中華料理店「新雅」、長女にレストラン「ジロー」、次兄にカレー店「アズ」をそれぞれオープンさせたのだが、いずれも経営がうまくいかず日ならずして閉店してしまった。明菜には多大な借金だけが残され、結局その返済のためにビルを手放すことになったのである。明菜にすれば家族のためにしてあげたことなのに、彼らは真剣に取り組んでいないと感じ、そして「自分は食い物にされている」と思ったのである。これが明菜が家族から疎遠な状態を取り続けている遠因だと考えて間違いないだろう。
中森明菜の生まれながらの孤独に共感される方、もっと知りたい方はぜひご一読ください
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出版業 教育研修業 特定募集情報提供事業(51-募-000072) |
設立 |
2022年4月 |
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